糖尿病網膜症
糖尿病になったら定期的な眼科検診を
目には、カメラのフィルムにあたる部分が目の底(眼底)にあります。それを網膜と呼びます。網膜は目の底の内側に張り付いた神経でできた膜で、ここで光を感じ取ります。糖尿病で血糖値が高くなることで網膜の血管が傷ついて出血したり、網膜の血の巡りが悪く(酸素不足)なることで、大出血(硝子体出血)や網膜が剥がれてくる(網膜剥離)結果、視力が下がる病気です。糖尿病網膜症は失明第3位の病気です。
糖尿病網膜症になる人は多いの?
糖尿病は全国に700万人おり、可能性のある方も含めると1620万人いると言われています。糖尿病は発病初期にはほとんど自覚症状がないため軽視されがちですが、全身に及ぶ合併症を引き起こす油断できない病気です。
糖尿病網膜症は糖尿病性腎症、神経障害とならんで「三大合併症」と言われています。糖尿病網膜症は糖尿病患者様の13.1%に発症するという報告があります。
どのように進行するのでしょうか?すぐ見えにくくなりますか?
糖尿病網膜症は以下の3段階に分けられます。初期には視力低下など自覚症状がなく、時にかなり進行するまで視力が良好な方がおられます。ただ、最終段階の増殖糖尿病網膜症になると視力低下や場合によっては失明することがあります。3段階のいずれの段階でも網膜のむくみ(浮腫)が出現して、視力が下がる場合があります(糖尿病黄斑症)。
自覚症状 | 眼底所見・治療方法 | 受診間隔 |
---|---|---|
単純網膜症(注意必要) | ||
全くない | 網膜出血、毛細血管瘤、脂肪の沈着(硬性白斑) 治 療内科的なコントロールが第一です。 | 3~6ヶ月に1回 |
増殖前網膜症(やや危険) | ||
ほとんどない | 網膜血管の拡張・閉鎖、多発するしみ(軟性白斑) 治 療進行防止に網膜光凝固術をおこないます。 | 1~2ヶ月に1回 |
増殖網膜症(危険) | ||
視力低下 失明 |
新生血管の発生、硝子体出血、網膜剥離 治 療網膜光凝固と共に手術が必要です。 |
2週間~1ヶ月に1回 |
- 糖尿病黄斑症(糖尿病黄斑浮腫)
視力をだすのに一番大事なところ(黄斑)に網膜のむくみ(浮腫)が出て、視力が下がります。
上記のいずれの段階にも出現します。治療は抗VEGFの硝子体内注射を行うことが一般的です。浮腫の状態やタイプにより、網膜光凝固や浮腫を軽減するお薬(ステロイド)の注射、手術などの選択があります。
目の状態で選択しますので、御相談下さい。
抗VEGF治療についてはこちら
糖尿病網膜症は自覚症状がないため、眼科受診されない方がおられます。
糖尿病と診断されたら、網膜症を発症していない方も最低1年に1回は受診し眼底検査を受けるようにしてください。