黄斑円孔(おうはんえんこう)
黄斑円孔とは?
目には、カメラのフィルムにあたる部分が目の底(眼底)にあります。それを網膜と呼びます。
網膜は目の底の内側に張り付いた神経でできた膜で、ここで光を感じ取ります。その網膜の中心に、物体を特に鮮明にはっきりと感じる部分があり、それを黄斑といいます。
黄斑円孔とはこの黄斑にあな(孔)があく病気です。
黄斑円孔の症状は?
初期の症状は、視力低下と物のゆがみです。徐々に進行すると、その見にくい部分が大きくなり、より視力が低下します。黄斑は網膜の中心ですから、見にくい部分は見ようとする中心なのです。痛みはまったくありません。
黄斑円孔の原因は?
眼の大部分を占める硝子体(卵の白身みたいなドロッとした透明なゼリーみたいなもの)は網膜の内側と面上にひっついていますが、この硝子体が網膜を引っ張ることによって、網膜の中心である黄斑にあな(孔)があきます。
すなわち黄斑円孔ができてしまうのです。初めは小さい孔なのですが、徐々にまんまるの大きな孔になります。
硝子体に変性が起こり、硝子体が網膜から離れていくのですが、この時に、黄斑円孔は60代の方中心におこり、女性に多い傾向があります。
治療方法は?
黄斑円孔の治療は硝子体手術しか方法がありません。
黄斑円孔の治療は硝子体手術により網膜を引っ張っている硝子体を切除して、引っ張っている力を無くします。
網膜の一番内側の膜(内境界膜)をはがします。手術終了時には、孔を閉じさせるために目の中に水の代わりにガスを入れます。手術後は1~3日間程度うつむけと安静にしていただく必要があります。
当院では25ゲージ硝子体手術システムを導入し、低侵襲での日帰り網膜硝子体手術を行っています。
視力はどの程度回復するのでしょうか?
初期の黄斑円孔であれば、手術の後90%位の黄斑円孔は閉じます。
しかし、手術により黄斑円孔が閉じたからといって視力が元に回復するというわけではありません。
ゆがみ(変視症)などが残る場合も多いです。手術することによって手術前の視力を保つことができたら成功と考えて下さい。
手術により黄斑円孔が閉鎖しての、力が上がる方が30%程度おられます。視力があがる程度は手術前の黄斑円孔の進行度合いによって様々です。術後の視力は正直、手術を執刀する者にもわからない場合がありますので、御理解いただけたるようお願いします。
ただ、新しい円孔は視力が上がりやすく、古い円孔は視力が上がりにくいです。特に、古い黄斑円孔である場合で、すでに視力が0.1以下である患者様は正直なところ、視力回復はあまり望めません。